帰路

「楽しかったです、ありがとうございました」
とぼとぼ帰り道を歩く。久しぶりにお酒を飲んだ。そのせいなのか、なんのせいなのかわからないけど、今日何を話したか、ほとんど思い出せない。というか、そもそも何か話したっけなあ。
清々しい気持ちではないけど、何か思い詰めるほどでもないし、考えるのも面倒になってきて、なんとも言葉に表しづらいような気持ちのまま、白い息を吐きながら急ぎ足で家に向かう。
家に帰ると、人がいる。僕は、一人が好きだ!と言い張るほど一人の時間が欲しい人間ではないし、かといってものすごいさみしがり屋なわけでもないと思う。なんだって、どっちでもいいよ、と言っている気がする。
本当にどっちでも、なんだっていいのだ。
帰る家があるのはとてもありがたいことだと思う。そのおかげで困らないことはたくさんある。人がいて、その人が自分のために何かをしてくれたり、自分が何かをしようと思ったり、会話をしたり、良いことも楽しいこともたくさんある。
だけど、どこも誰も、居場所という言葉はしっくりこない。僕はまだまだ子供だからなのか、全然優しくないからなのか、ずっとひとりでいるような、これからもずっとひとりのような気分だ。
それが悲しいことなのかもよくわからない。
死ぬまでひとりぼっちの気分だ。
「まあ、いいか。」
家に一番近いコンビニに寄って、いつものチョコレートプリンをふたつ買って帰る。
ぼんやりと、にこにこした顔が浮かぶ。
また、なんとも言葉に表しづらいような気持ちになる。
はやく家に帰ろ。

しおや

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