歩く

人生で初めて、挫折みたいなものを実感した気がした。
そもそも今まであまり行き詰まったことがなく、挫折などという言葉とは無縁だったように思う。
可もなく不可もなく、だけどまあ楽しいなあとか、何となく感じながら生きていた。
だけど、何やら、急激に落ちてしまったのだ。
初めての挫折に、自分はとにかく困惑した。毎日が苦しかった。誰に話しても何を食べても寝ても寝ても、一向に良くなる気がしない。何ならどんどん気分は落ちていくばかりのような気がした。
 自分は未来について、それほど深く考えることをしてこなかったように思う。
死ぬことも、痛いのは嫌だなあぐらいにしか思っていなかった。やりたいこともそこそこにあって、楽しく思うこともあったし、なんとかなる精神で膨大な不安を感じることもそんなになかった。だけど、この挫折に直面してからというもの、不安で夜に眠れなくなったり、未来のことを考えても何も全て意味がないように思えて、早々全てを終わりにしたいような衝動にかられ、物凄い喪失感やら寂しさを感じて泣きたくなったりした。
何だか、危ない気がする。自分でそんなふうに感じていた。
 それでも、人って何とかなるんだなあと思う。何かしら、抜け道、逃げ道はすごく細くてもどこかにはあるんだと知った。それはきっと、みんなみんな違うんだと思う。先っちょが明るい逃げ道が、誰かのそばかもしれないし、日常のほんの小さな幸せかもしれないし、お金かもしれないし、友達かもしれないし、仕事かもしれない。誰かにとっては死かもしれない。
間違っているかどうかは、誰かが勝手に判断するかもしれない。だけど、全部全部、最後には自分のものだ。なるべく誰かとか、大事な人とかを傷つけずに生きたい。正しいと思えるように生きたい。優しくいたい。だけど、それが全部じゃない。自分勝手だって、大丈夫だよと思う。もっと好きに生きてもいいんだな、って思わせてくれる人に偶然出会った。少し救われたような気がした。もしまたすぐダメになっても、またきっと大丈夫になる時がくると微かに信じて、今日も生活をしようと思う。

chiko

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